ケーススタディ - AZX総合法律事務所様

ペーパーレスな契約書業務のフローを整備し、

弁護士としての価値提供と働きやすさを両立

AZX総合法律事務所様は、スタートアップやベンチャーを中心にサポートするプロフェッショナルファームです。ワークスタイルが変化する昨今、紙業務からの脱却をはじめ、多様なニーズにあった働き方の構築が重要度の高い課題でした。特に契約書業務は、年間数万件を超える膨大な量を扱っているにも関わらず、アソシエイト弁護士がデータで作業した契約書を紙に印刷してパートナー弁護士がレビューを行う状況だったため、効率化に向けた対策を探していました。

 

そんななか、法務向け総合文書エディタ「BoostDraft」を導入したことで、契約書業務のペーパーレス化を実現する新たな業務フローを構築し、弁護士として本質的な業務に集中できる環境づくりを推進できました。今回は、BoostDraftの導入背景と効果について、弁護士の濱本先生、貝原先生のお2人に詳しくお話を伺いました。

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左から、濱本先生、貝原先生

 

AZXロゴ
社名
AZX総合法律事務所
業種
法律事務所
従業員数

180名 内弁護士51名(2025年10月現在)

導入前の課題

  • 年間数万件を超える契約書業務において、表記ゆれやフォント違い等をチェック・修正することに工数や時間を取られてしまうことがあり、弁護士として本質的な価値提供をする妨げになっていた
  • 契約書を紙に印刷してレビューする運用が根付いていたため、多様なワークスタイルにあった柔軟な働き方ができなかった

 

BoostDraft導入後の効果

  • 契約書の形式に関わる確認作業を効率化でき、レビューのスピードとアウトプットの品質が向上した
  • 契約書をデータでレビューする運用に変更し、紙を使わないペーパーレスな業務フローを実現。時間や場所に縛られず、弁護士としての働きやすさを向上

 

数パーセントの工数削減が大きなインパクトに。契約書業務を効率化して本質的な価値提供をしたい

 

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ーーまず、AZX総合法律事務所様の概要とお2人の役割について教えてください。
貝原様:AZX総合法律事務所は、スタートアップやベンチャーを中心にリーガル領域でご支援をするプロフェッショナルファームです。最新のスタートアップの情勢やテクノロジーに精通している点が大きな特徴です。リーガルテック導入等のIT活用についても積極的に進めています。
現在、事務所には51名の弁護士が所属しており、案件全体を統括しアソシエイト弁護士の成果物をチェックするパートナー弁護士と、契約書の作成・チェックなどの初期作業を担当するアソシエイト弁護士の2つに役割が分かれています。私はパートナー弁護士として、クライアントからの多様な法律相談やアソシエイト弁護士の成果物のチェックを担当しており、また、事務所内のITインフラやツール導入を検討・推進する役割も担っています。


濱本様:私も同様の役割です。パートナー弁護士としての業務を担当しながら、事務所内のITインフラについてツール選定や所内での活用促進を行っております。

ーーーBoostDraftを導入する以前は、契約書レビューに関してどのような課題がありましたか?
濱本様:取り扱っている契約書は、主に投資契約書や株主間契約書、ファイナンス関連の契約書と、NDAや業務委託契約書などビジネス関連の契約書です。事務所全体では契約書を年間数万件以上扱っており、業務の3分の1以上を占めています。他にも登記手続きに関する依頼もあるため、扱う書類でいえば議事録作成も含めて膨大な量です。


契約書の作成や文面のチェックといった実務の初期作業はアソシエイト弁護士やパラリーガル(リーガルクラーク)が中心となって担当していますが、以前はアソシエイト弁護士がデータで作業した契約書を紙に印刷してからパートナー弁護士がレビューを行っていました。


貝原様:法律事務所は、限られた時間で価値提供をするための効率が求められる部分があります。しかし、表記ゆれやフォント違い等をチェック・修正することに工数や時間がかかってしまうことがあり、結果、弁護士として本質的な価値提供をする妨げになっていました。


濱本様:形式に関わる作業は、一つひとつは短時間で済んだとしても、積み重なれば膨大な業務時間になります。もしその内の数パーセントでも削減ができれば、全体で見れば大きなインパクトになるので、業務効率化は重要な課題でした。


貝原様:また、パートナー弁護士が紙で契約書レビューを進めるには、ファイルの印刷から手書きによる修正、そしてパートナー弁護士が指示した修正内容をアソシエイト弁護士がデータに反映する作業等、対応する工程が多く時間がかかります。それだけでなく、パートナー弁護士が手書きで修正を加えた紙の契約書は、その後パートナー弁護士からアソシエイト弁護士に対して受け渡すことが必要です。

たとえば、パートナー弁護士が海外出張で不在になれば、契約書の受け渡しができないため業務進行が滞ってしまいますし、紙の契約書をスキャンしてデータでやり取りすることも大きな負担となります。物理的な対応を前提としていては、在宅勤務を始めとする多様なワークスタイルにあった働き方も難しい状況でした。

 


 

弁護士の“痒いところに手が届く”BoostDraftならエンゲージメント向上にも期待

 

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ーー課題解決策としてBoostDraftを導入した背景を教えてください。

貝原様:BoostDraftは紹介をきっかけに検討を始めたのですが、形式面のチェックや修正に特化しており、弁護士の我々にとって“痒いところに手が届く”設計だと思ったのが第一印象です。いくつかリーガルテックの導入を見送っていた経緯があったのですが、BoostDraftは他のリーガルテックと違って課題解決につながるのではと期待を持ちました。

 

濱本様:検討にあたって、所内でBoostDraftのトライアルを実施しました。実際に触ってみた所感をアンケートで集めてみたところ「形式面のチェックや修正の負担が軽減された」といった声が多く、特にアソシエイト弁護士から強い要望の声があがったことも、導入の後押しとなりましたね。

ーー本格導入にあたり、所内稟議や所内展開はどのように進めましたか?
貝原様:先程のアンケートで寄せられた負担軽減への期待から、BoostDraft導入による効果はあるだろうと思っていましたが、所内の稟議にあたって、削減できる時間やコストをどうやって算出するかに悩んだのは正直なところです。ただ、こうした本質的とは言えない作業は、多ければ多いほどネガティブな意見が集まりやすくなります。

 

BoostDraftの導入によって弁護士の負担が軽減できれば、アソシエイト弁護士の事務所へのエンゲージメントも高まるだろうと実感し、その観点で十分な費用対効果が出せると判断できたことが一番の説明材料になったように思います。

導入が決まった後は、弁護士全員が活用できるように、所内ITチームが中心となって全PCにBoostDraftのインストールを進めました。また、新人弁護士を受け入れる際のPCのキッティング時にもBoostDraftを追加するプロセスを整備し、初期研修の体制も整えています。

 


 

契約書業務のフローを整備。働き方の柔軟性が向上し採用効果にも期待

 

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ーーBoostDraft導入後に実感した効果を教えてください。
貝原様:特にアソシエイト弁護士の負担が大きく軽減されました。契約書は事務所の信用にも直結する成果物なので、形式に関わるミスであっても見落としはあってはならず、だからこそ確認作業の工数は大きいです。特にクライアントに提出する前の最終チェックの場面では、ミスを見落とさないように注意する精神的負担も大きいのですが、BoostDraftを活用することで見落としリスクが減り、安心して業務に集中できるようになったのは大きな効果です。


濱本様:契約書レビュー全体のスピードが上がったのはもちろん、アウトプットの品質向上にも繋がっていますね。確認作業に自信を持っていたアソシエイト弁護士でも、自身で確認をしてからBoostDraftを使ってみたら、残っていたミスが見つかったという話もあります。目視確認では気付きにくいミスがなくせる点で、品質があがっていると思います。

ーー現在はどのような場面でBoostDraftを活用していますか。
貝原様:紙で契約書レビューをしていた頃には、定義語など重要な箇所に書き込みを行いながらレビューしておりましたが、BoostDraftでも同じように重要語句に自動でアンダーラインやハイライトをかけてくれるのが役立っています。
特に助かっているのは、未使用定義語を検知してくれる点です。定義したのにその後未使用の定義語は、意図せずとも発生することがあります。それを契約書の長い文章のなかで確認していたので非常に手間を要していましたが、BoostDraftなら未使用の定義語を自動で検知してくれるのですぐに解消できます。


他にも表記ゆれやインデントのずれもすぐに修正できますし、住所・日付・金額といった間違えやすい数字も見落とさずに確認ができるので、形式を整える工数は大幅に削減できています。


濱本様:レビューで付けたコメントや修正履歴の名義を統合できるのも重宝しています。パートナー弁護士とアソシエイト弁護士との事務所内部でのやり取りが複数回に渡ると、付いたコメントも煩雑になってしまうことがよくあります。クライアントに提出する直前にそれらをすべて調整する作業が発生していましたが、BoostDraftで簡単に統合できるようになり大変助かっています。


あとは、法令引用が多い契約書もあるので、法令参照をポップアップで表示できる機能も、すぐに内容が確認できて便利です。アソシエイト弁護士からとても支持されておりますね。むしろ、「BoostDraftでポップアップが表示されるように法令を書く」といった工夫をする方もいます。

ーーその他、BoostDraft導入によって実現できたことはありますか?
濱本様:契約書レビューのやり取りがデータのままで進められるので、紙の印刷は不要になり、ペーパーレス化の後押しにもなりました。そのため、紙の受け渡しや勤務場所といった物理的な制約が少なくなり、働き方の柔軟性も高められたと感じています。
現在は、BoostDraftを組み込んだ手順書を新たに作成し、事務所全体で統一した契約書業務のフローを整備しています。具体的には、パートナー弁護士とアソシエイト弁護士の間でのデータの受け渡し方法や、契約書の修正方法、参考文献の付け方等を明文化しています。


貝原様:業務フローの整備はなかなか労力がかかりました。紙からの脱却に向けてどう業務フローを回すかが重要だったので、契約書レビュー全体を捉え直す必要があります。そのため、マネジメントボードの承認を経て、全パートナー弁護士に会議の場で説明をしてから展開をするよう丁寧に進めました。その甲斐もあって、今では導入の効果を実感してますし、事務所のペーパーレス推進にBoostDraftは欠かせなくなっています


また、ITツールを導入し働き方を変えられていることは、採用面でも効果が期待できると感じています。サマークラークなどのインターンで法科大学院生を受け入れた時にも、新しいツールを活用している法律事務所としてのアピールになります。

 


 

BoostDraftは法律事務所の価値提供と働きやすさを支える存在

 

ーー最後に、これからBoostDraftの導入を検討されている方へメッセージをお願いします。
貝原様:法律事務所にとって契約書のレビュー結果は、クライアントとの信頼関係にも関わる重要なものです。もし形式面に不備があれば、それだけで不要なリスクを招きかねません。さらに、法律事務所の業務の多くを契約書業務が占める以上、業務効率化は事務所全体のパフォーマンスにも直結します。

BoostDraftを導入することで、形式面の不安を取り除き、迅速な価値提供の実現に期待ができます。もし導入を迷っているのであれば、早めに導入したほうが良いと強く実感しています。


濱本様:法律事務所には、パートナー弁護士、アソシエイト弁護士、パラリーガルなど、契約書業務に関わる役割が複数あります。それぞれの立場や働き方が異なるからこそ、柔軟に働ける環境を作っておくことや一貫した業務フローを整備することが大切です。BoostDraftは法律事務所の働きやすさを支えてくれる存在だと感じています。

 

 

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導入前の課題

  • 条文参照のズレや表記揺れなど、契約書の形式面でのチェック作業は目視とWordの検索機能に頼っており、一定の工数が必要になっていたうえ、契約書の形式的なミスが残ってしまう場合があった
  • 人力では避けられない契約書のミスを防止し、組織として契約書の品質を向上させたい

 

BoostDraft導入後の効果

  • 業務効率の改善:業務フローを変えることなく、契約書の形式的な不備がないかのチェックが簡単にできるようになった
  • 品質向上:人力では見落としがちな形式的なミスを自動検出し、組織として契約書の品質を一定以上に向上させることができた
  • 心理的負担の大幅軽減:「ミスが残っているのでは」という不安や心理的負担が解消した