食料品の製造・販売を手がけるキッコーマン株式会社様。同社の法務グループは、少ない人数ながらも年間で1,700件を超える契約書を取り扱っており、契約書のレビュー業務にかかる時間と手間の効率化は、常に対策を考えるべき課題でした。
そこで課題を解消すべく導入したのが、法務向け総合文書エディタ「BoostDraft」と文書比較ソフト「BoostDraft Compare」です。今回は、導入の経緯やその効果を、法務・コンプライアンス部 法務グループ長である江夏様に伺いました。
いまではBoostDraftファーストで業務を設計。
「ずっと欲しかった」解決策が見つかり、契約内容の議論に集中できる
食料品の製造・販売を手がけるキッコーマン株式会社様。同社の法務グループは、少ない人数ながらも年間で1,700件を超える契約書を取り扱っており、契約書のレビュー業務にかかる時間と手間の効率化は、常に対策を考えるべき課題でした。
そこで課題を解消すべく導入したのが、法務向け総合文書エディタ「BoostDraft」と文書比較ソフト「BoostDraft Compare」です。今回は、導入の経緯やその効果を、法務・コンプライアンス部 法務グループ長である江夏様に伺いました。
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社名 |
キッコーマン株式会社 |
業種 |
食品メーカー |
従業員数 |
連結:7,716名(2025年3月末現在) |
ーー法務部門の体制や業務内容について教えていただけますか。
法務・コンプライアンス部は12名で構成されており、「法務」「コンプライアンス」「株式」の3つのグループに分かれています。(※2025年7月の取材当時)
そのうち法務グループは4名で構成されており、契約書の審査・レビュー業務、訴訟の管理、法律相談などを担当しています。私は法務グループのグループ長として、グループの統括業務に加え、法律相談や訴訟対応の調整、新規事業に関する法的助言なども行っています。
ーーBoostDraftを導入する以前はどのように契約書のレビュー業務をされていましたか?
事業部からの案件相談を発端に契約書ファイルを受け取り、内容を確認・加工し、修正履歴や吹き出しコメントを付けて保存し、また返送するという対応をしていました。
契約書の修正前後で文書を比較する際には、元データと修正版を並べて、目視で差分を一つひとつ確認していたんです。2つの契約書ファイルを比べて、まず差分を見つけ、次に修正や変更を加えるという流れでした。内容を確認する時間よりも、形式面のチェック・修正作業の方が、手作業で行っていることもあって業務負荷が大きかったように思います。おそらく、業務全体の20%程度は占めていたのではないでしょうか。
本音を言えば、「契約文書の形式面を整えることは、絶対にやらないといけない」とは思っていません。しかし、それができていないとちゃんと仕事をしていないように思われるから気になる、そんな感覚はありました。そのうえ、実際にやっている方なら共感いただけると思うのですが、例えば、インデントの調整は文書ごとに特有の設定がされていて、手動でやろうとすると非常に面倒なのです。「できるなら時間も手間もをかけたくない……」というストレスをずっと感じていました。
ーー具体的にどのような点で業務負荷が大きかったのでしょうか。
契約書のレビュー業務には、内容確認や文書比較、形式面のチェック・修正など、さまざまな「作業」が発生します。たとえば、法令の条文が出てくれば、内容を覚えているわけではないのでwebで検索する必要があります。また、英文契約書の場合には、一文が非常に長く、もともと英語が得意でないこともあり、主語や構造を把握するのにも時間がかかっていました。
法務グループで取り扱う契約書の対応件数は年間で約1,700件にのぼります。1案件で複数の契約書を扱うことも多くあり、4名という少ない人数で、さらにWチェックを行うことを考えると、1人あたりの業務負荷は膨大になります。
形式面のチェックや文書比較、修正といった「作業」にばかり多くの時間を割いていては、本来集中すべき契約内容の検討に十分な時間を確保できません。だからこそ、契約書レビューで発生する作業の効率化・負荷軽減は、長年の課題と認識していました。
ーーBoostDraftはどのようなきっかけで検討されたのでしょうか。
知人の弁護士からの紹介でBoostDraftの存在を知りました。リーガルテックや効率化ツールの情報は常に追っていたのですが、初めてBoostDraftの話を聞いたときに、まさに私が求めていたものだと実感しました。すぐに導入を検討し、約2週間後には導入を決めていたと思います。
ーー具体的にどのような点が導入の決め手になりましたか。
他社のAIレビューサービスのなかには、契約書の内容面にまで踏み込んで指摘を行うものもありますが、法的判断は自分たちで行えるため、試してみてもかえって非効率に感じることがありました。その一方、BoostDraftは形式面の確認や修正・文書比較といった細かな作業に特化していたことが、まさに長年感じていた課題解決につながると確信したのです。
機能は直感的でわかりやすいですし、「まさに法務が面倒だと思っていたことを解消してくれる」と感じたことが、導入を決めた大きなポイントです。他のサービスに比べても導入コストが安価だったため、社内稟議もスムーズに進めることができました。
ーーBoostDraft導入後、業務にどのような変化や効果がありましたか?
契約書のレビュー業務のなかには、条項番号のずれや表記ゆれといった、それ自体が致命的なミスではなかったとしても、雑なアウトプットを出すのはプロとして恥ずかしいので、修正せずにはいられないものが数多くあります。BoostDraftがない時は、こうした細かな確認・修正作業が積み重なり、時間的にも精神的にも負担になっていました。
BoostDraftを導入してからは、文章を読むためのアシストがされて内容把握が容易になりましたし、手間がかかっていた形式面に関わる細かい作業が削減され、大幅に時間短縮ができました。とくに重宝しているのは、文中の法令名や条番号にカーソルを合わせるだけでその内容がポップアップ機能で表示される機能で、これによって「戻る・探す・開く」といった作業がなくなったと感じています。
業務負担やミスを気にすることも減ったので、精神的な負担の軽減にも繋がっており、内容面の議論などの本来注力すべき業務の時間が増えたように思います。
ーー「文書比較」に関しては、BoostDraft Compareも導入をいただいています。BoostDraft Compareを導入する以前、どのような課題がありましたか?
法務業務では、契約書の新旧のバージョン間の比較が必ず発生します。比較対象は本文だけでなく吹き出しコメントも含まれるのですが、どこが変わったのかが一目ではわかりにくいです。
特に負担が大きかったのは、ファイル形式が異なる場合の文書比較です。例えば、Wordで送ったファイルが、修正されてPDF形式で返送されてくることが法務の世界では頻繁にあります。そうなると、修正前のWordファイルに対して、PDFファイルの文書にある差分を一つずつ目視で確認する必要があります。
Word同士であればWordの比較機能が使えますが、ファイル形式が異なると修正箇所の把握は煩雑で、時間も手間もかかります。また、Wordの吹き出しコメントは内容を修正しても履歴が残らないため、部下や関係者がコメントを編集した場合に、当初どのような指示を出していたのかを後から確認できないという問題もありました。
ーーBoostDraft Compareを導入したことでどのように解決しましたか?
BoostDraft Compareを使うことで、WordとPDFなどファイル形式が異なる場合でも、差分を瞬時に比較確認できるようになりました。これまで目視で探していた修正箇所が自動でハイライトされるため、文書をイチから読んで確認していた時間が大幅に短縮できています。また、コメントも比較対象として検出できるため、指示内容の修正や経緯が追えるようになりました。これにより、部下や関係者が編集したコメントの履歴も把握でき、指示の伝達や確認の正確性が向上しました。
変更箇所を探すだけでなく、「変更がないことを確認したい」あるいは「一瞬でどうでもいい修正であると確認できればスルーできてありがたい」という場面も多いです。それらの確認もBoostDraft Compareですぐにできるため、従来のように時間と手間をかけて確認する必要がありません。
他にも、文書の変更点を視覚的に示すことができることは、法務としての作業効率の観点以外に、上層部へ社内文書の変更点を短時間で説明できる点でもメリットを感じているんです。その結果ですが、法務部門はテクノロジー活用が進んでいるね、という社内評価を受けることにも繋がりました。
ーーBoostDraftをどのような方にお勧めしたいですか?
契約書を日常的に扱っていて、細かい確認作業が多い弁護士や企業法務には特に効果を実感いただけると思います。表記ゆれや条文のインデントずれといったわずかな違いも見逃さず、例えば「本件業務」と「本業務」のような細かな定義語表現の違いも検出できます。他にも、事前に単語登録しておけば「天変地異」と「天災地変」といった、人の目では見逃しやすい誤用や修正の抜け漏れを防いでくれるため、作業の精度と効率が大きく向上します。
ーー江夏様にとってBoostDraftはどのような存在ですか?
今では「日常の道具」として、BoostDraftが自然に業務のなかに溶け込んでいます。あまりにも便利なので、むしろ何か業務改善を考える際にもBoostDraftに合わせて業務フローを見直し、「BoostDraftファースト」で法務業務を組み立てるようになりました。これから導入を検討される方にとっても、日々の業務に自然と組み込まれ、法務としてのパフォーマンス発揮に手放せない存在になるのではないでしょうか。