ケーススタディ - 江崎グリコ株式会社様

「当たり前の作業」を削減できる驚き。

BoostDraftで法務の仕事の密度を向上させる

江崎グリコ株式会社様は、「ポッキー」をはじめ、菓子・冷菓・乳製品・加工食品など幅広い商品を展開する総合食品メーカーです。同社には契約書レビュー業務において、条文番号のズレや表記ゆれといった形式面のチェック・修正作業に時間を取られ、思考を要する業務に十分な時間を割けないという課題がありました。そこで法務向け総合文書エディタ「BoostDraft」を導入した結果、この課題を解消するとともに、業務の密度を高めることにも成功しました。
今回は、その導入経緯と効果について、グループ法務部 契約グループのグループ長である橋本様、チームリーダーの後藤様にお伺いしました。

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左から、後藤様、橋本様

 

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社名
江崎グリコ株式会社
業種
総合食品メーカー
従業員数

単体:1,452名、連結:5,563名 (2024年12月末現在)

導入前の課題

  • 法務部門のリソースを付加価値の高い業務に投下したかったが、思考を要する業務に十分な時間を割けなかった
  • 契約書レビューのなかでも、条文番号のズレや表記ゆれなどの形式面のチェック作業に時間を取られていた。しかし、業界全体でこうした作業は当然という風潮があり、削減の発想自体なかった

 

BoostDraft導入後の効果

  • 効率化できると思っていなかった作業が削減でき、案件が年々増えているなかでも同じ人数体制で成果を出せている
  • 形式面のチェックや修正作業の時間が減り、思考を要する業務に集中できたことで、業務の質が向上した

 

法務の現場で形式面のチェック作業は当然の工程。負担に感じていても、削減できるという発想すらなかった

 

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ーーまず、法務部門の業務内容とお2人の役割について教えていただけますか。
橋本様:法務部には、3つのグループがあります。契約書などを扱う「契約グループ」、コンプライアンス案件を担当する「コンプライアンスグループ」、そして商標関連を取り扱う「商標グループ」です。部全体には約20名が所属しています。(※2025年8月の取材当時)

法務部のミッションとして「法的手法アプローチを駆使してグループの社益を実現し、社会のニーズに応える」を掲げており、いわゆるパートナー機能・ガーディアン機能・ナビゲーション機能のすべてを兼ね備えている組織体制を目指しています。

 

そして私がグループ長として管掌する契約グループは、契約書の作成やチェック、訴訟対応、出資に関する案件などが主な担当業務です。私は他にも、社内ではサステナビリティ委員会の戦略スタッフも兼任しています。また、リーガルオペレーションズに関する外部団体にも参加し、情報収集を進めながら、社内全体のリーガルオペレーションズの向上に力を入れているところです。

 

後藤様:契約グループは国内の契約案件に関してチームを2つに分けているのですが、私はそのうち1つのチームのリーダーを務めており、自身のチームが担当する案件全体を統括しています。また、国内案件とは別に、出資案件を多く担当しているほか、海外子会社法務(担当地域はシンガポール、マレーシア及びフィリピン)も担当しています。


ーーBoostDraftを導入する以前はどのように契約書のレビューをされていましたか?

橋本様:導入以前は契約書の作成やレビューを支援する専用ツールは導入しておらず、Wordなど汎用的なソフトのみを使用していました。

後藤様:契約書の作成やレビューの際にWordは使用していても、プルーフリードの際には契約書を紙に印刷して確認することもあります。プルーフ作業は基本的に人の目によるチェックに頼っていて、自動化や効率化の仕組みは特にありませんでしたね。


ーーそのような状況で抱えていた課題を教えてください。

橋本様:法務部では、国内外の契約案件を幅広く担当しており、常に業務量が多い状況です。限られた人員で、思考や判断を要する専門的な業務に集中する必要がありました。一方で、条文番号のズレや表記ゆれといった契約書の形式に関わるチェックは、誰かが行う必要はあるものの、法務としての付加価値は生みにくく、できる限り効率化したいと感じていました。

 

形式に関わる作業時間が積み重なれば、契約内容のリスク評価や交渉対応といった、本質的な業務に十分な時間を割けなくなり、結果として業務全体の質が高まりにくいと問題視していました。こうした形式面のチェックは、全員が担うべき当然の業務として取り組んでいたため、細かい確認を苦手とするメンバーにとっては、負担に感じる場面もあったと思います。


後藤様:現場で日々契約書レビューを行っているメンバーにとって、契約書の形式面のチェックは「当然やるべきもの」と捉えている方も多かったのではないでしょうか。そのため、「当たり前の作業」に対して、工程を見直したり削減したりするという発想自体がなく、この業務にかかる負担をそもそも課題として認識していなかったようにも思います。

 


 

契約書の形式面の課題解決に特化したBoostDraftは、理想的なツールだった

 

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ーーBoostDraftを導入した経緯を教えてください。

橋本様:契約書レビューを支援するツールはあったものの、契約書の内容や表現の妥当性まで判断しようとするものが一般的です。ただ、そういった高度な判断においては、AIではまだ十分に対応できていないと感じていました。その一方、BoostDraftは契約書の中身の部分には踏み込まず、形式面の課題に特化して解消してくれる点が特徴です。

 

まさに、私たちが課題としていた「法務としての付加価値を生みにくい作業」を効率化し、限られたリソースをより高付加価値の業務に振り分けたいというニーズに、ちょうどフィットするツールだと感じました。日本語の契約実務において、形式面の課題解決に特化したツールは他にはありませんので、BoostDraftは非常に貴重な存在でした。

 

先程お伝えした通り、これまで契約書レビューにはWordを使っていたので、BoostDraftがWord上で動作し使える点も、導入の大きな決め手となりました。導入コストに対して得られる効果が高く、費用対効果の面でも十分に優れていると判断しました。

後藤様:本格導入にあたっては、まず予算を確保する必要があったため、定量的な効果を把握するためのアンケートを実施したことも導入を後押しする大きな要素になりました。アンケートの内容は、たとえば、いまどれくらいの時間を形式面のチェック・修正作業に割いているかといったものです。

また、トライアルの段階でメンバーからの評判も非常に良く、「BoostDraftを使いたい」という声が多く上がっていたのです。

 


 

形式面のチェックの時間が短縮されれば、密度が高い仕事に集中できる。承認プロセスもスムーズに

 

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ーーグループ長である橋本様から見て、BoostDraft導入後にどういった効果を実感されましたか?

橋本様:わかりやすく効果を感じたのは、二次レビューの際に契約書の形式的な乱れが減っていたことです。今振り返ると、BoostDraft導入以前は形式面のチェックに多くの時間と意識が割かれ、肝心の中身の確認に割く時間が削られてしまうことも少なくありませんでしたね。

 

また、たとえば条文番号のズレや表記ゆれなどの形式的なミスがあると、「この契約書、大丈夫かな?」と中身まで気にしなければいけない印象を与えてしまい、決裁手続等において役員や部門長等上位の確認者に余計な負担をかけてしまうこともあったように思います。そうした形式面の不備が解消されたことで、承認プロセス全体がスムーズになったと感じています。


いまでも案件数が増加傾向にあるなか、同じ人員体制で対応が可能になっているため、生産性や業務効率は確実に向上していると言えます。形式面のチェックや修正作業の負担が減ったことで、本当に注力すべき、契約書の内容面を確認する時間が取れるようになり、業務の密度も高まったように感じます。

ーー後藤様から見て、現場ではどのような効果がありましたか?
後藤様:形式面のチェック作業だけでも、1人あたりで月3〜5時間は確実に削減できており、それが10名規模になれば、全体で見ても非常に大きな効果です。そうした時間の削減は、単に効率化につながっただけでなく、繰り返しの作業にかかっていたストレスも軽減され、気持ちの面でも非常に助かっています。

 

その結果、法務パーソンとしての仕事のクオリティが以前よりも上がったと感じています。他にも、契約書を紙に印刷して目視で確認していた作業がなくなったので、ペーパーレス化の推進につながったとも言えますね。もうBoostDraft導入前のやり方には戻れない、というのが正直な実感です。

ーーその他の法務メンバーの方々からは、導入後どのような声や反応がありましたか?
後藤様:導入後2年ほど経ちますが、今回契約グループの9名にアンケートを実施したところ、9名中7名がBoostDraftに満足しており、実務上の効果を実感しているという結果でした。なかでも、次のような機能が特によく使われています。

まず、条文番号のズレや定義の抜け・表記ゆれなどのエラー検知機能は、手作業で見落としやすい細かなミスを自動で拾ってくれるため、確認の抜け漏れを防ぎ、ミスの早期発見につながっています。

 

表記ゆれの修正も非常に便利で、細かな形式面の修正まで対応できる点が高く評価されています。これらのエラーを一括で修正できるプルーフリード機能を利用することにより、更なる業務効率化も実現できています。

また、契約書内の定義が記載されているかどうかを自動で検知する機能や、法令や定義条文をワンクリックでポップアップ表示できる機能も便利です。定義箇所に戻る必要がなく、複数ページを行き来せずに確認が完結するため、個人としての作業スピードが格段に上がりました。


さらに、修正履歴を統合したり、履歴の名義を変更したりできる履歴管理機能は、依頼部門や相手方に対して契約書を発信する立場の若手メンバーにとっては特に不可欠な機能です。
なお、英文契約のレビューに関しても、9人中5人がBoostDraftを使用しており、一定の活用が進んでいます。

 


 

「考える仕事」に集中するために。BoostDraftは法務パーソンに不可欠な効率化ツール

 

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ーーBoostDraftを今後どのように活用していきたいか教えてください。
橋本様:現在は法務部のなかでも契約グループのみでBoostDraftを使用していますが、他にもコンプライアンス対応や商標登録業務など、法務部の他のグループでも活用できる可能性があると感じています。
また、弁護士が作成する準備書面や意見書、異議申立書などへの応用も検討していきたいです。

 

とくに、表記ゆれの自動検出機能は契約書に限らず、さまざまなビジネス文書にも活用できるため、BoostDraftは汎用性高く効率化できるツールだと実感しています。


ーー最後に、BoostDraftをどのような方におすすめしたいですか?
橋本様:法務の現場では、「丁寧に時間をかけてやってこそ意味がある」「作業を積み重ねてこそ評価される」といった価値観が根強くあります。その価値観自体を否定するものではありませんが、そうしたなかで、「これは削減できない」と思い込んでいた作業にも、BoostDraftを導入したことで効率化の余地があることに気づかされました。

 

実際に使ってみて初めて、「仕事の密度」や「時間の使い方」について考え直すきっかけになったと実感しています。目の前の作業をこなすだけでなく、もっと考える仕事に集中したいという方こそ、BoostDraftを導入する価値があるのではないでしょうか。


後藤様:当たり前だと思っていた業務が、実は削減できると知ったときの衝撃はやはり大きかったです。BoostDraftの機能には、実務をやってきた方なら共感できるようなものが多いので、ぜひお試しいただきたいです。きっと業務効率化に不可欠なツールだと実感すると思います。

 

 

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導入前の課題

  • 条文参照のズレや表記揺れなど、契約書の形式面でのチェック作業は目視とWordの検索機能に頼っており、一定の工数が必要になっていたうえ、契約書の形式的なミスが残ってしまう場合があった
  • 人力では避けられない契約書のミスを防止し、組織として契約書の品質を向上させたい

 

BoostDraft導入後の効果

  • 業務効率の改善:業務フローを変えることなく、契約書の形式的な不備がないかのチェックが簡単にできるようになった
  • 品質向上:人力では見落としがちな形式的なミスを自動検出し、組織として契約書の品質を一定以上に向上させることができた
  • 心理的負担の大幅軽減:「ミスが残っているのでは」という不安や心理的負担が解消した